歌詞集

2020-05-15 09:00:00

街角の夢遊病
くらり
倒れ込んだ君を
誰もが追い越してゆく
せいいっぱい
それぞれの日々

無愛想な人の群れ
ほんのわずかな先を 急ぐ
うずくまる君には
夢の続きが探し出せない

明日を失った人に
心痛めるふりで
わたしじゃなくてよかった なんて
守る
けれど 何を

行方知れずの君を
忘れたように賑う街
立ち止まるわたしは
君の見た夢を探している

このまま もし 消えても
誰も気づかないだろう
わたしも
遠く
遠く
遠く
逝きたい
けれど どこへ

街角の夢遊病
ふらり
短い旅をしただけ
引き返すわたしは

君の残した明日を
生きる。



作詞:やなせなな
アルバム『遠い約束』(2007年)収録
©Studio Tabby

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2020-05-14 09:00:00

空に広がる入道雲
もうすぐ ひと雨来るかもしれない
流れ落ちる汗を拭って
働く僕は 今日もまた 急ぎ足

こんな時に 不意に「どうしてる?」
なんて聞かれて
何を話せばいいんだろう
とにかく
時は流れたんだ
言い訳なんて 僕にはできそうにない

今もまだ
心の奥に残る宿題
僕に問いかけ続ける 白紙のままのノートに
震える手で 書き込む答え

夏休みは 終わったんだ

守りたいことが増えてゆく日々
臆病になったな、と時々は思うよ
つまらない大人が嫌いだったあの頃
ほんとうの強さを 僕は知らなかった

 

空に輝く稲光
激しいにわか雨が僕を濡らす

流れ落ちる涙拭って
生きてく僕は 今日も無理して 笑う

入り組んだ
心の底に沈めた夢
今も胸に蘇る あの日のままの結審
でも これからは
捨てても構わない
夏休みは 終わったんだ

守りたい人がすぐそばにいる
窮屈になったな、と時々は思うよ
つまらない大人になりたくなかった頃
あなたの痛みに気付かないままで

守りたいことが増えてゆく日々
臆病になったな、と時々は思うよ
つまらない大人が嫌いだったあの頃
ほんとうの強さを 僕は知らなかった

作詞:やなせなな
アルバム『遠い約束』(2007年)収録
©Studio Tabby

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2020-05-13 09:00:00

いつものように
ただいま と 君の声
うれしいことがあったのかな
すぐに わかるんだよ

照れくさいからね
ありったけの愛は 隠し味に
わざと何でもないような顔して
おかえり

しあわせは
お鍋の中 ぐつぐつ煮込めば
とけてゆく
ひとつになる
おだやかな奇跡を 今日もありがとう


いつものように
ただいま と 君の声
かなしいことがあったんだね
すぐに わかるんだよ

何もできないから
溢れるせつなさは 隠し味に
でも 涙に背を向けたりしない
おかえり

かなしみは
お鍋の中 ぐつぐつ煮込めば
とけてゆく
ひとつになる
腹ぺこのふたり(※君が) 笑った

向かい合うテーブルには
それぞれが抱く さみしさ
噛みしめて 手を合わせる
あたたかい奇跡を 今日もありがとう


作詞:やなせなな

アルバム『遠い約束』(2007年)収録、短編映画『祭りのあと』(2017年)挿入歌
©Studio Tabby

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2020-05-12 09:00:00

なぜわたしはここにいるの
憶えていない
あなたのやさしいほほえみの他に 何も

流されて辿り着いた 見知らぬ街では
互いのぬくもりだけが
答えになる

けれど
いとおしいそのすべてに
誰も皆 別れを告げて
去り逝くさだめ 背負う旅人

だから
睦み合い 刻んでゆく
遥かなる時を越える約束
愛する怯え 抱きながら
繰り返し


朝日に照らされて輝く ちいさな花
心に映るもの
ひとつひとつが なつかしい

あなたが流す涙は やがて雲となり
やさしい雨は 今日もわたしの上 降り注ぐ

いつか
いとおしいそのすべてに
誰も皆 別れを告げて
去り逝くさだめ 背負う旅人

だから
睦み合い 刻んでゆく
遥かなる時を越える約束
同じ空に帰る日まで
繰り返し

同じ空に帰る日まで
繰り返し

作詞:やなせなな
コンピレーションアルバム『カフェミルトンへのサウダージ』(2005年)、アルバム『遠い約束』(2007年)収録
©Studio Tabby

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2020-05-11 09:00:00

あの人の写真は日ごとに
色あせて古くなるから
都合良く 恋を忘れてたあたしも
たまには 泣きたくなったりするのだ。

かたわらでじゃれてる猫は
きまぐれに あたしと目が合うと
時々は なぐさめるように 笑ったりする

そばにいてください だなんて
そんなわがままは
猫にひっかかれて ひっこめた 手の中
握りつぶして しらんぷりしてたけれど

丸めたままのあたしの背中を照らす
夕暮れの月は はんぶん
宙ぶらりんの想い抱える
あたしの心に 似てた


あの人の行方は日ごとに
たぶんどんどん遠くなるから
都合良く 忘れられているあたしは
相変わらず 手ぶらのまま ここにいるのだ。

かたわらでの猫ときたら
いつだって 大あくびして寝てばかり
やさしい退屈な暮らしは あしたもきっとゆっくり続いてく

もいちどだけ会いたい だなんて
そんなお願いは
猫にひっかかれて ひっこめた 手の中
握りつぶして しらんぷり
してたつもりでいたけれど


丸めたまま背すじぴんと伸ばして
急に猫が歌など唄い出す
いつまでもうつむいてちゃだめだと
まじめな顔であたしを見てた


丸めたままのあたしの背中を照らす
夕暮れの月は はんぶん
いつまでもうつむいてちゃだめだから
猫の真似してあたしも唄ってみる

丸めた背筋ぴんと伸ばしたあたしを照らす
夕月はスポットライト
最後に思い切り涙流したら
もう忘れよう
と、決めた。


作詞:やなせなな
アルバム『あいのうた』(2005年)収録
©Studio Tabby

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